環境のための保険: 自然と経済活動の相互依存性

山火事や異常気象、森林破壊やサンゴ礁の白化・死滅に至るまで、私たちは現在自然環境の急速な悪化を目のあたりにしています。スイス・リーは、気候変動、人口増加、都市化による影響を軽減するうえで鍵となるものは、自然資本への投資であると考えています。

日本1は、地球環境問題を外交における重要分野の1つと位置付け、幅広い提案を行い、積極的に対応しています。温室効果ガス削減を推進する京都議定書の枠組みへの参加、生物多様性保全の国家戦略、国連の持続可能な開発目標 (SDGs) の適用などはそのほんの数例です。

保険が果たしうる役割

自然には自己回復し、炭素を捕集して天候に関連する災害の影響を減らす能力があることが実証されています。しかし、これらの極めて重要な生態系サービスを確実に持続させるためには、私たちの支援が必要です。

保険は自然資産の保護において重要な役割を担っています。私たちはすでに個人や企業の財産に保険をかけています。また、健康保険や生活の質を守るための保険にも加入しています。自然資産には、環境的、経済的、健康的に莫大な公益的機能があり、他と同様に補償対象となってしかるべき資産です。

自然界のための効果的な損害軽減防止策や回復戦略は、自然それ自体から着想を得られる場合があります。自然を真似る、あるいは自然を取り入れたソリューションを設計することで気候変動や自然災害に対するレジリエンスが向上し、保険はこれら多くの「自然ベースのソリューション」(NBS)の実現可能性を高めることができます。

また、保険はグリーン・プロジェクトやグリーン・インフラへの投資と規模拡大のための鍵となります。これらは、持続可能な方法で環境、経済、および社会的課題解決に取り組むための重要な活動です。

スイス・リーは、データを使用して自然への理解を深め、お客様が豊富な情報に基づく適切な計画作成を進めることができるよう、高度なリスクツールを構築しています。当社はこの情報を活用することで各国政府とも連携して計画を支援し、それがひいては各国政府のレジリエンス戦略強化にもつながるものとなっています。

自然と経済活動間の依存状況

自然と経済の相互依存性は、通常過小評価されています。自然資本とエコシステム機能は、多くの国で国富に大きく貢献しています。スイス・リーの最近の生物多様性およびエコシステム・サービス・インデックスによれば、世界のGDPの55%が手つかずのエコシステムに依存しています

サンゴ礁は、世界全体で、観光業による年間360億ドルの経済価値を提供しており、このうち190億ドルが、ダイビング、野生生物の観察などの「サンゴ礁に直結した」観光業により生み出され、残りはサンゴ礁関連分野での観光業、例えば、海の眺望、ビーチ、現地の海産物などから生み出されています。日本の観光支出のうち約13%はサンゴ礁での活動に関連しており、その額は年間約10億米ドル相当と推計されています2

沖縄のサンゴ礁は主に人間の経済活動によるストレスが原因で減少していますが、減衰につながるストレスを減らしながらサンゴ礁を回復させ、再生能力を向上させる可能性はまだ残されています3

2017年、スイス・リー は中央アメリカのサンゴ礁とそこから生ずる観光収益をハリケーンの被害から守るために新しい保険ソリューションを開発しました。この商品は、災害後迅速に保険金を支払うことで、地域住民による復興活動の早期開始と、サンゴ被害の最小化を可能にします。迅速な支払で損害の拡大防止を下支えするこの商品をモデルとし、規模を拡大して他の地域で再現することも可能です。このことは最近、10月にハリケーン・デルタがキンターナ・ロー州を襲った際に証明されました。迅速な支払により、根こそぎ破壊されたサンゴ礁の破片を回収して再移植し、サンゴ礁群体を安定化させることができました。再移植されたサンゴ礁の多くは今、新たなサンゴ礁群体へ育とうとしています。すべては災害直後の8日間で実行されました。

より持続可能な未来を築くために

新型コロナウイルスは、リスクの全体像を把握し、異常事象に備え、適切な予防システムに投資することの重要性を私たちに教えました。この危機からの回復を図りながら、私たちは得られた教訓を気候変動適応戦略にしっかりと取り入れる必要があります。

低炭素未来とより持続可能な経済の構築を形作ることができるかどうかは、自然ベースのソリューションの拡大・加速に向けた私たちの対応能力にかかっています。それらの構築は、自然と生態系サービスへの投資によってのみ成しえるものであり、保険はこの活動を確かなものとする一助となっています。

保険が自然資産をどう保護できるか、そして自然ベースのソリューションの実現方法については、こちらをご覧ください。

[1] https://www.mofa.go.jp/policy/environment/pdfs/jp_initiative_pamph.pdf

[2] Spalding, M., Burke L., Wood S.A., Ashpole J., Hutchinson J. and Ermgassen P. 2017. Mapping the global value and distribution of coral reef tourism. Marine Policy 82:104-113

[3] Omori, Makoto(2011) 'Degradation and restoration of coral reefs: Experience in Okinawa, Japan', Marine Biology Research, 7: 1, 3 — 12

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