アジア太平洋地域主要8市場におけるリスク許容度調査

スイス再保険会社は、アジア太平洋地域の20歳~40歳(ジェネレーションX、Y)を対象にリスク許容度に関する調査を実施し、その結果を発表しました。それによると、日本は他のアジア7市場と比較して、最も金融リスクをとる傾向にあることが明らかになりました。

この調査は、スイス・リーが2009年第1四半期、アジア太平洋地域8市場の20歳~40歳の消費者および中小企業の意思決定者から回答を得て、リスク許容度の比較を行ったものです。調査では「金融」、「キャリア」、「健康」、「ライフスタイル」の4つのカテゴリーにおけるリスク、また、ビジネスの「成長」、「オペレーション」の2つのリスクに着目しました。市場間の相違を比較し、今後の変化を客観的に測定するため、調査結果をスイス・リー独自の指標である「消費者リスク許容度インデックス(CAFRI)」、「ビジネスリスク許容度インデックス(BAFRI)」で表しています。

1. 消費者のリスクに対する許容度

日本の若者はアジア太平洋地域で3番目にリスク許容度が高い

本調査では、日本の20歳~40歳の若者のCAFRIは47.5で、オーストラリア、香港に次いで消費者リスク許容度は8市場中第3位でした (図1参照)。

日本のリスク許容度第3位という結果は、アジア太平洋地域内で金融リスク許容度が第1位、キャリア・リスク許容度が第4位であることに起因しています。一方、健康とライフスタイルに関しては、リスク許容度が低い傾向にあります。

退職後の経済的な安定を確保する、明確なプランを持つ日本の若者は非常に少ない

本調査では、日本の若者は最も金融リスクをとるという結果が得られました。しかし、「退職後の経済的な安定を確保するための明確なプランがある」と回答した割合はわずか14%にすぎません。これは、シンガポール、インド、香港、中国、マレーシアでは50%以上が明確なプランがあると回答しているのと比較して、著しく低い数値でした。日本の回答者の57%は、退職後の明確な経済プランがないと回答しており、未婚・既婚、子供の有無に関らず同様の結果が得られました。

スイス・リー経済調査・コンサルティング部 アジア部門 チーフエコノミストであるクラレンス・ウォンは次のように述べています。「日本は先進市場であり、家計収入が高いにも関らず、国の年金システムが引退後の生活には十分でないという不安が若者の間で拡大しています。これは、将来の経済計画が必要と認識している回答者が比較的多いことからも明らかです。一方、将来に対し“明確なプランを持っていない”という結果は、資産運用マネジメントを提供する企業にとって、日本には巨大な未開拓市場としての可能性があることを示しています」と述べています。

日本の若者は健康的な食生活や運動より、医師のアドバイスや健康診断に依存

日本人回答者の63%が「疾患がなくても定期的な健康診断を受けることは重要である」と答え、対象市場の中で最も高い数値となりました。しかし、「食べたいものより健康的な食生活を優先する」と回答したのはわずか27%で、対象市場の中で最も低い数値となりました。加えて定期的に運動していると回答したのはわずか37%でした。

クラレンス・ウォンは「この結果は、日本の若者が健康的な食生活や規則的な運動より、医師のアドバイスや健康診断に大きく依存していることを示しているともいえます。このような過度な依存が続けば将来的にはモラルハザードの増加につながり、国民の健康に深刻な影響を与えることになります。実際、肥満の問題が発展途上国より先進国で広がっているのは、不健康な食生活と運動不足に原因があることがわかってきています」と述べています。

日本の若者のライフスタイルにおけるリスク許容度は低い

日本の若者はアジアで2番目にライフスタイルにおけるリスク許容度が低いという結果が得られました。8市場間の差は小さいものでしたが、「楽しみのために危険なスポーツに挑戦しない」と回答した日本の若者はアジアで最も多い47%でした。

しかし、旅行先の選択については、日本人の回答者の34%が「危険な場所でも旅行先や休暇を過ごす場所として選ぶことがある」と回答しています。これは韓国の37%に次いで2番目に高い数値となりました。

この結果について、クラレンス・ウォンは「大多数ではないものの、20歳~40歳の日本人回答者の相当数がこれまで行ったことのない地域に旅行すると答えていることから、アジア太平洋地域で異なる社会的、文化的価値観がみられることを示しています。事実日本人の旅行費は世界の上位10位に入っています」と述べています。

2. ビジネスリスクに対する許容度

日本のビジネスリスク許容度は8市場中第3位

アジア太平洋地域における20歳~40歳の中小企業意思決定者を対象にした調査では、日本の中小企業リーダーのリスク許容度は比較的高いことが明らかになりました。BAFRIは33.9で、オーストラリア、中国に次いで地域内で第3位でした(図2参照)。日本の中小企業リーダーのオペレーショナル・リスクに対する許容度も高く、8市場中第2位でしたが、ビジネス成長に関するリスクでは最もリスク許容度が低いという結果になりました。

日本の中小企業の意思決定者は成長に関するリスクでは最も保守的

「高い利益を得るために資本を失うリスクをとる」と回答した日本の中小企業リーダーの割合はわずか18%でした。他の市場ではマレーシアの46%と中国、シンガポールの58%の間に位置しているのに比べ、日本の数値は著しく低いことがわかります。また、現在の厳しい市場状況の下、日本の回答者の73%が買収より自律成長(organic growth)を好むと回答しています。

日常業務に関しては、日本の回答者は比較的リスク許容度が高く、情報セキュリティ、工場や周辺のメンテナンスや安全、環境政策、人材といったオペレーションに関するリスクの許容度は高いという結果になりました。

クラレンス・ウォンは「日本の中小企業の意思決定者は、比較的高いリスク許容度を示しているものの、他の市場と同様、オペレーショナル・リスクを慎重に管理しています」とコメントしています。

本調査について

「2009年アジア8市場におけるリスク許容度調査(The Swiss Re Survey of Risk Appetite: Asia Pacific 2009)」は、オーストラリア、中国、香港、インド、日本、マレーシア、シンガポール、韓国の8市場を対象に、2009年第1四半期に実施しました。20歳~40歳の都市労働者3,900名を対象とし、性別、年齢、子供の有無で人数の割合が同等になるよう抽出しました。また、同じ年齢層の中小企業の意思決定者800名を企業規模ごとに人数の割合が同等になるよう抽出しました。調査はオンライン、電話、 対面により実施しました。

なお、2009年5月にはオーストラリア、中国、香港、シンガポールの400名の消費者を対象に、新型インフルエンザに対するリスク許容度に関する小規模な調査を実施しました。

本調査レポートは、スイス・リーの一部顧客および報道関係者に配布しています。スイス・リーのホームページには掲載しておりません。

CAFRI とBAFRIインデックスについて

「消費者リスク許容度指数(The Consumer Appetite for Risk Index: CAFRI)」および「ビジネスリスク許容度指数(Business Appetite for Risk Index: BAFRI)」は、対象市場の全般的なリスク許容度のレベルを測り、市場横断的な比較を行う際に有効な指標です。CAFRI、BAFRIのスケールはともに0から100で、インデックスの値が低いほどリスクに対する許容度が低いことを示しています。リスク許容度は、インデックス値0の極端なリスク回避から、インデックス100の極端なリスクテイキングまでの範囲で表され、中間値がリスク許容度の中間とされます。

CAFRIは15項目の質問を「金融」、「キャリア」、「健康」、「ライフスタイル」の4つのカテゴリーに分類し加重平均したものです。同様にBAFRIは10の質問をビジネスの「成長」、「オペレーション」の2つのカテゴリーに分類し算出しています。


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