スイス再保険の最新シグマ調査

保険会社のリスク評価の手段としてシナリオ分析の利用が増える一方、最先端のリスク分析を十分に活用する余地はまだあるといえます。

保険会社は、シナリオ分析を行うことにより、将来の多様な可能性や発生しうる事象を考慮に入れた上で意思決定を行い、相関性のあるさまざまなリスクを管理することができます。保険会社は、戦略立案、リスク管理、保険引受けなどにシナリオ分析を利用しています。

スイス・リーのエコノミストであるカート・カールは、次のように述べています。「金融危機などにより、保険会社がシナリオ分析を導入し、リスクを評価する際に最先端のシナリオ分析を利用する機会はますます増えるでしょう」

保険業界におけるシナリオの一般的利用

保険会社は、自然災害、死亡率、投資のボラティリティなどさまざまなリスクに直面していますが、それらは往々にして相関性があります。

例えば、パンデミックでは、何千人もの人が命を失い、生命保険金が高騰します。また、人々が感染を避けるためにショッピングや仕事、旅行を控えることにより、企業経営が悪化し、ひいては株価低迷に到ります。リスクを評価し管理する保険会社は、リスクやリスクが及ぼす影響を十分認識する必要があります。

カート・カールは次のように述べています。「保険業界は、他の業界とは異なり、極めて稀な事象に焦点を当てます。使用するモデルは、当局から提供されるかその企業独自のもので、テールリスクを評価するためさまざまなシナリオを用いて分析します。優れたモデルは多種多様な保険と資産リスクの利点を考慮に入れています」

シナリオの構築

シグマでは、パンデミックのような複雑なシナリオを保険会社が評価する例を挙げてシナリオ分析を説明しています。医学専門家は、パンデミックの感染経緯を把握し、感染者数、死亡率、罹患率を確定する必要があります。エコノミストは、経済と資本市場への影響を評価する必要があります。保険会社は、各保険商品のコストを算出します。

分析終了後、保険会社は、再保険の追加、利益保険など制限条項の有無といった緩和戦略を再検討する必要があります。カート・カールは、次のように述べています。「保険会社は、パンデミックが資産収益に及ぼす影響を評価しなければなりません。パンデミックのリスクが増大するようであれば、資産ポートフォリオのリスクを迅速に軽減しなければなりません」

最先端のシナリオ分析

保険会社の最先端技術には以下のような優れたシナリオ分析が含まれます。

  • 保険や経済、金融市場でのショックを用いるストレステストが可能な資産•負債のグロバール・モデル
  • 自然災害やパンデミックといったショックに関係する社内シナリオ・テストの定期的プログラム。経済と金融市場でのショックに基づく社内シナリオの定期的プログラム。
  • 各主要資産クラスおよびビジネスに及ぼす影響を捉えるモデル。

シナリオ分析の需要は高まっており、今後は保険会社のみならず、特定のリスクを規制当局、格付け会社などにも広がる可能性があります。

保険業界では多く利用されるようになってきたシナリオ分析ですが、まだ完全ではなく、また業界も最先端の分析に追いついていないのが現状です。カート・カールは次のように述べています。「今回の金融危機により、保険会社によるシナリオ分析の利用は間違いなく増加するでしょう。シグマを通じて、シナリオ分析への理解が深まり、保険業界におけるモデルリングの改善につながることを期待しています」


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