利回りの急落と収益の圧迫

損害(再)保険会社が2009 年もキャジュアルティーラインの好調な引受けを維持するために取り組むべき課題とは?

スイス・リー アジア キャジュアルティー部門のジテン・ボラリアが、金利低下が招く適正引受け料率の上昇について論じます。

2008年、損害(再)保険会社を取り巻く環境は一転しました。わずか 1年前、企業のバランスシートは堅固であり、投資収益は安定し、経済成長にも勢いがありました。経済が破綻をきたすほどの世界的危機にある今、エコノミストの多くは、事態は回復するどころかさらに悪化するとの見方を示しています。過去6カ月に世界各国の中央銀行が実施に踏み切った協調利下げは、前例のない大規模なもので、今回の金融危機の深刻さを表しているといえます。

この協調利下げは、2009 年の損害(再)保険会社のキャジュアルティーラインの収益にどのような影響を与えるのでしょうか。下の表は、アジアの主要国における政策金利と2008年3月~2009年3月の変動率を示したものです。

損害保険会社の投資展望

損害保険会社の収益性は、大きく引受け利益と投資収益に分類できますが、投資活動の性質に損害保険の業態と生命保険のそれとの違いをみることができます。損害保険の将来債務は、生命保険に比べ比較的短期となる傾向があり、はるかに予測し難いものとなっています。また、保険金は迅速に支払われるケースがほとんどです。

損害保険会社では、すぐに現金化できる流動資産に投資する機会が圧倒的に多くなります。通常、国債と社債の保有割合が損害保険会社の資産の 70%以上の割合を占め、株式は20%を下回ります。

保険会社の多くは 2009 年に期待できる投資収益が著しく縮小しており、さらに悪化することも考えられます。これには次に挙げる大きく二つの要因が考えられます。

  • 金利低下が債券利回りを著しく減少させ、あらゆる年限の債券に影響を与えることになった。
  • 資本基盤が弱まるにつれ、保険会社の投資リスクへ向かう意欲が減少した。これにより投資収益は中・短期の無リスク資産利回りに連動する可能性が高くなる。

 

金利が保険料に与える影響

金利動向は、損害保険業界の収益性サイクルに影響を与える要因の一つであり、保険商品の性質が大きく左右します。

保険会社は、将来の保険金支払いを約束することと引き換えに保険料を得ます。他のすべての条件が一定であるとすれば、金利が上昇するに従って保険料で得られる投資収益を見込むこともできるため、保険会社は将来の保険金請求のための適正引受け料率を下げることができます。

適正引受け料率と金利のこの基本的な関係は、保険会社が金利が低下している時には適正引受け料率を上げ、金利が上昇している時には引き下げることを意味しています。実際のマーケット保険料における変更規模は、金利変動の程度、あるいは保険会社を適正引受け料率から逸脱させてしまう競争圧力によって異なります。

ビジネスの影響力 ― ショートテール vs. ロングテール

金利変動が適正引受け料率に与える影響は、保険料の受け取りから保険金支払い請求までに長い期間を要する保険の方が大きくなります。したがって、ロングテールの傷害保険は、ショートテールの財物保険より金利変動による影響を大きく受けます。

 賠償ラインのエクセスオブロスを引き受けている非比例再保険ビジネスは、通常元受会社より金利の影響を受けやすくなります。非比例超過損害額再保険特約カバーは、比較的高額なエクセス・ポイントまたは免責金額を超過した損害を対象としています。超過損害額再保険の支払再保険金額が明らかになるまで長い時間を要しますので、再保険の適正引受料率も元受保険料より金利の影響を受けやすくなります。対照的に、比例再保険が受ける影響は元受保険が受ける影響とほぼ同程度です。

適正引受け料率に与える影響

次の表は、二つの一般的保険種類で再保険会社が同じ利益率を維持するために、どの位適正引受け料率を上げる必要があるかを仮説で示したものです。

この表から、損害額確定までの期間が長くなればなるほど必要増加額が多くなることがわかります。その一方、毎年の金利に変動のない、安定した金利環境においては、テクニカル保険料の変更は最小限にとどまります。各国の国債利回りの変動と、ポートフォリオに固有の決済期間を考慮に入れれば、他のアジア太平洋地域諸国にも同様の影響があることがわかります。

投資収益の減少は、2009 年の適正引受け料率を決定するにあたり損害保険会社が直面する課題の一つです。他の要素としては、料率適正性の低下、金融危機からくる訴訟の増加見込み、資本コストの変化、保険金支払いの膨張、リスクの変化、競争圧力などが挙げられます。

損害(再)保険会社が 2009 年も収益性を維持することができるとすれば、急速に変化しつつある環境を理解し適応するとともに、厳正な引受けを行うことがカギとなります。


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