スイス・リーの最新シグマ調査「2011年の世界の保険」 - 2011年の保険料は全体としては減少だが、損害保険料は引き続き増加

  • 2011年の損害保険料は、新興市場における堅調な経済成長と、一部の先進国市場における選択的な保険料率の上昇を受け、引き続き1.9%の伸びを記録。
  • 生命保険料は2.7%減。米国では成長が回復するも、欧州中国、インドで激減。
  • 今後、損害保険料は先進国市場において引き続き緩やかに成長し、生命保険料は新興市場で伸びを回復する見込み。

スイス・リーは最新のシグマ調査で、2011年の世界全体の保険料は実質ベースで0.8%減少したと発表しました。[1] 損害保険料は、新興市場における堅調な経済成長と、一部の先進国市場における選択的な保険料率の上昇を受けて1.9%増加した一方、世界の生命保険料は2.7%減少しました。保険業界全体の収益性を低下させた、著しく高額な保険損害をもたらした自然災害の発生、そして歴史的な低金利にもかかわらず、業界の資本および支払能力は引き続き安定しています。

損害保険料は2011年も引き続き増加

2011年の世界の損害保険料の伸び率は1.9%でした。新興市場では、力強い景気拡大を受けて、8.6%と引き続き大幅な伸びを記録しました。また先進国市場では、一部の地域および保険種目における料率の伸びを背景に、0.5%とわずかながらも増加しました。しかしながら、欧州の景気後退局面、そして米国の不景気が保険への需要を抑制しています。調査の著者であるダニエル・スタイブは次のように述べています。「先進国市場における損害保険料の伸びは、個人保険の分野および大規模な自然災害の被害を受けた地域で料率が徐々に上昇したことに後押しされました。2011年の悪環境にもかかわらず、損害保険会社の資本基盤は引き続き健全であり、保険業界の将来的な安定成長を見込むことができる立場は強固なものです。」

生命保険料は、世界全体で2.7%減少

生命保険料は全体として減少しましたが、一部の市場では引き続き安定した伸びが見られます。実際には、この減少は主として、いくつかの大きな市場で保険料が急激に減少したことに起因するものです。二大市場である米国と日本では伸びを記録したものの、先進国市場全体では2.3%減少しました。米国では、保証付きの変額年金保険に対する強い需要を受け、新規生命保険契約からの保険料の伸びが回復しました。日本では、個人向け終身生命保険の販売が好調であり、年金保険商品の保険料の伸びが回復しました。しかしながら、先進国市場は西欧地域における生命保険既契約の急激な減少に苦しみました。

二大新興市場である中国およびインドにおけるバンカシュアランスの販売規制強化により、新興市場の生命保険料は全体で5.1%減少しました。一方、中東における保険の普及率は他の新興市場と比べて依然として非常に低いものの、中南米および中東などのその他の新興国地域では健全かつ継続的な伸びが見られました。

収益性に関して、スタイブは次のように説明しています。「生命保険業界の収益性は安定してきたものの、依然として低い状態です。投資収益に影響を与え、保証保険商品の収益性を損なう低金利が、引き続き生命保険業界にとって最大の問題となっています。」

見通し: 損害保険は成長離陸可能

2012年は、全体的に緩やかな保険料の伸びが予想されています。損害保険では、新興市場における力強い成長と料率の上昇が、保険料の伸びを支えると見込まれています。ただし、料率サイクルの変化は穏やかで、特定の市場および種目に限られるでしょう。

先進国市場における経済成長の鈍化が生命保険および損害保険の需要を圧迫しますが、新興市場では、生命保険料の伸びが回復へ向かうでしょう。インドと中国では、保険会社はすでに販売経路の統合および商品の再編により新たな規制への適合を図っています。新興市場のいずれにおいても、生命保険料の伸びは今後も所得の向上およびリスク認識の高まりから恩恵を受けるでしょう。中南米では、特に貯蓄型保険や信用生命保険が今後さらに普及することが見込まれています。超低金利が、引き続き保険業界全体にとっての課題となるでしょう。

スイス・リーのチーフ・エコノミストであるクルト・カールは次のように述べています。「2011年は、保険料の伸びという面ではあまり良い一年ではありませんでしたが、2012年は損害保険市場で保険料率が引き続き上昇し、インドおよび中国の生命保険市場が成長軌道に復帰するため、昨年よりもはるかに好成績な一年になるはずです。」

本シグマ調査は、2011年の世界の保険市場の業績に関して初めて公表される評価となります。2011年のデータまたは推定値を集めることのできた84の市場が世界の保険料ボリュームの99%を占めています。全体として、本レポートは147の保険市場のデータに基づいています。

2011年の主要保険市場の発展

 

保険料ボリューム順 2011年

生命保険料 

損害保険料 

保険料総額 

 

保険密
(米ドル)
2011年

保険普及率
2011年

 

十億米ドル

2010年に対する
変化

十億米ドル

2010年に対する
変化

十億米ドル
2011年

2010年に対する
変化

 

 

先進国市場 

 

2262

-2.3%

1635

0.5%

3897

-1.1%

3712

8.6%

米国

1

538

2.9%

667

-1.3%

1205

0.5%

3846

8.1%

日本

2

525

6.5%

131

2.8%

655

5.8%

5169

11.0%

英国

3

210

-3.3%

109

1.4%

320

-1.8%

4535

11.8%

フランス

4

175

-15.6%

98

1.8%

273

-10.0%

4041

9.5%

ドイツ

5

114

-7.1%

131

1.2%

245

-2.8%

2967

6.8%

イタリア

7

105

-20.2%

55

-1.8%

161

-14.7%

2530

7.0%

香港

23

25

4.4%

3

1.8%

28

4.1%

3904

11.4%

新興市場 

 

365

-5.1% 

334

9.1% 

700

1.3% 

118

2.7% 

中南米およびカリブ諸国

 

65

9.5%

89

10.7%

154

10.1%

261

2.8%

ブラジル

14

41

10.2%

37

7.1%

78

8.7%

398

3.2%

メキシコ

28

10

7.2%

12

12.3%

22

9.9%

193

1.9%

中・東欧

 

21

0.1%

72

6.7%

93

5.3%

287

2.6%

ロシア

19

1

41.8%

42

11.3%

43

12.0%

303

2.4%

東南アジア

 

228

-10.4%

119

10.2%

347

-4.3%

97

3.0%

中国

6

135

-14.8%

87

10.4%

222

-6.4%

163

3.0%

インド

15

60

-8.5%

12

13.5%

73

-5.5%

59

4.1%

中東および中央アジア

 

10

9.4%

30

8.9%

40

9.4%

124

1.5%

アラブ首長国連邦

45

1

12.9%

5

9.7%

7

10.3%

1380

1.8%

アフリカ

 

46

1.3%

22

3.3%

68

1.8%

65

3.6%

世界 

 

2627

-2.7% 

1970

1.9% 

4597

-0.8% 

661

6.6% 

注: *実質すなわちインフレ調整済み
保険普及率 = 保険料の対GDP比 ; 保険密度 = 国民1人当たり保険料

出典: 監督当局および保険協会が発表した確定計数と暫定数値。
スイス再保険会社経済調査・コンサルティング部による概算。

出典:スイス再保険会社経済調査・コンサルティング部


シグマ入手方法

英語版、ドイツ語版、フランス語版、スペイン語版のシグマ調査No 3/2012「2011年の世界の保険:損害保険は成長離陸可能」は、ウエブの
シグマセクション
よりダウンロードできます。中国語版および日本語版も近日中に公開予定です。

印刷版のシグマNo 3/2012は、現在英語版、フランス語版、ドイツ語版、スペイン語版が発行されており、続いて日本語版と中国語版の発行が予定されています。ご希望の方はご送付先を明記の上、下記アドレスまでお申込み下さい:

E-mail: sigma@swissre.com
チューリッヒ: tel. +41 43 285 2551 fax +41 43 285 4749
ニューヨーク: tel. +1 212 317 5135 fax +1 212 317 5455
香港: tel. +852 25 82 5691 fax +852 25 11 6603

 

[1] すべての伸び率は、実質ベース、すなわちインフレ調整済み(現地の消費者物価指数を基に測定)です。

2012年6月27日