リスクの管理には、リスクの全体像を理解することが重要です。災害は、低リスク(「頻度が高い/深刻度が低い」)または高リスク(頻度が低い/深刻度が高い)に分類され、いずれのカテゴリーに対しても特定のリスク管理戦略と潜在的なリスク移転/資金調達ソリューションが必要です。政府の観点からは、高リスクに分類される自然災害を効果的に管理する必要があります。政府は、既存の保険会社や再保険会社にリスクを移転したり、キャットボンドを発行したりすることができます。あるいは、リスクをヘッジするためにデリバティブその他の金融商品を購入することもできます。図表2は、さまざまな損失ファイナンスのメカニズムと商品の概要を示しています。

再/保険は、とりわけ広く採用されているリスク・ファイナンス・ツールです。しかし、一部の新興国の保険市場は依然として十分に発展しておらず、成長するには長い時間がかかります。その点で政府の強力な後押しが必要です。
現在では、資本市場ソリューションやさまざまな再保険契約により、リスクの軽減と管理を資金面で後押しする革新的な方法を利用することができます。このようなメカニズムは、従来の保険を補うものであるため、保険がまだ十分に発達していない新興国にとっては特に有効です。
その役割は以下の通りです。 <7p>
- 復旧および再建期間における必要資金の確保
- 保険予算の確保と変動の軽減、あらかじめ定められた保険料による予算の確実性(特に複数年契約の場合)の向上
- 返済義務がなく(ローンとは対照的)、他の重要なプロジェクトから災害関連分野に資金を移動させなければならない事態を回避
リスク・ファイナンスにおける官民のパートナーシップ
災害リスクのファイナンスと効果的な削減には民間セクターと公共セクターの共同の対応が必要です。複雑さとコストが増大するにつれ、どちらか一方だけでこの難題に対処することは困難になっています。これは、資金不足にもかかわらず、頻度と深刻度を増す自然災害に対処しなければならない新興国にまさに当てはまります。さらに、リスク・エクスポージャーの集積が進むにつれ、将来の災害のインフレ調整済みコストは政府の限られた予算をはるかに超える可能性があります。
官民のパートナーシップは、特に再保険との資本市場ソリューションが関与した場合には、災害計画の改善ならびに関係機関が気候変動の影響に対して準備することを可能にします。また、リスク認識の向上や、さまざまなリスク移転メカニズムを利用した共同ソリューションを推進することも可能です。
リスク予防、リスク移転およびファイナンスには、以下のソリューションがあります。
♦ リスク予防のためのパートナーシップ
保険会社には、リスク予防手段を特定するために必要な専門知識があり、そのような手段を実施する場合により魅力的な保険料を提供することができます。一方、建築基準法、消防法等のリスク予防手段の実施やファイナンスについては、公共セクターの方が効果的に行うことができます。
♦ リスク移転とファイナンスに関するパートナーシップ
政府は、市場メカニズムが機能できるようにする法的枠組を作り出すことによって重要な役割を果たすことができます。保険が適するか否か難しい場合があることを考慮すると、公共セクターは各取引において異なる役割を引き受けることが考えられます。
公共セクターは、例えば次のように関与することができます。
- 非常に重要なエクスポージャー・データの収集を伴うリスク移転ソリューションの開発。それを行う中で、政府は再/保険会社の支援とノウハウを引き出すことができる。
- 個人と法人のリスク移転ソリューションの入手可能性の拡大
- 最終手段として事実上の保険提供者となり、全国規模の損害カバーを支援。また、国際的再保険や資本市場ソリューションを利用してリスクを移転するために、民間セクターとパートナーシップを締結することが可能。
- 災害直後の救済と緊急対策から生じる費用の移転。予算上の確実性と災害後の債務水準の低下が主なメリット。
全体として、このようなパートナーシップは、増大する災害対策費用の管理において重要な役割を果たし、公共セクターが前もって災害対策資金を調達することを可能にします。これはまた、政府が公共の資金調達に大きな負担をかけずに、またより少ない費用で救済を行えるようにするための有効な方法となるのです。




