気候変動に適応するための経済学レポート

スイス再保険会社(以下スイス・リー)が参画した「気候変動に適応するための経済学」(Economics of Climate Adaptation: ECA)作業部会のレポートにおいて、気候変動への適応策が経済発展を促進することが報告されました。同レポートは、各国の政策決定者が気候変動にとどまらず、気候関連のリスクを総合的に捉える必要があると指摘しています。

気候関連リスクによって世界の国々が被る損失は、2030年までに最大でGDPの19%に達し、特に発展途上国は最も大きな影響を受けることが予測されています。しかし、気候変動に適応するための対策を講じることにより、そのリスクによる経済損失を40~65%削減することができ、対策を強化している地域ではそれ以上の削減も可能であることが明らかになりました。

「気候変動に左右されない発展に向けて」と題したこのレポートは、気候変動が経済に及ぼすリスクを判断するための包括的かつ反復可能な方法論を提示しています。各国の政策決定者がそれぞれの気象条件に基づくコストを算出し、気候変動に対する抵抗力を持つ独自の経済を構築することを可能にする一連の手段を提供しています。

スイス・リーのサステイナビリティ&エマージングリスク部門の統括であり、ECA作業部会に参画したデイビッド・ブレシュは10月29日に来日し次のように述べました。「世界各国の政策決定者は、非常に不確実性の高い気候関連リスクを把握し、対処するという課題に直面しています。このレポートはそのような課題に初めて解決策を示したものといえます」。気候変動の影響が深刻な場合でも、コスト効率の高い対策を講じることにより、バリューアットリスク(VaR)の多くを保護し、場合によってはその大半を維持することができるであろう、とレポートは指摘しています。

この方法では、まず現在の気候リスク、気候変動、将来の経済発展の価値を総合的に算出し、地域ごとの気候変動リスクの総計を導き出します。そして、費用便益分析を用い、特定されたリスクに適合するためのその地域独自の対策リストを作成します。総合的な研究の結果、排水や防波堤の整備、建築規制の強化など、容易に特定でき、コスト効果の高い対策を採ることにより、気候変動による経済損失を削減できることが判明しました。実際、ほとんどの対策において経済的効果が費用をはるかに上回り、平均的な対策費用は回避することのできる経済的損失の50%未満にとどまっています。

この方法は、気候災害、経済への影響、発展段階が異なる先進国および発展途上国のうち8カ国(中国、インド、サモア、ガイアナ、米国、マリ、英国、タンザニア)で試験的に実施されました。これは、リスクを考慮しなければならないあらゆる国々に適用することができます。

気候変動適応のための経済学」(Economics of Climate Adaptation: ECA)作業部会について

ECA作業部会は、2008年9月、地球環境ファシリティが発起人となり、国連環境計画(UNEP)と協力し、気候変動に左右されない経済開発戦略策定のための枠組みづくりを目的として発足しました。グローバルで事業を展開する再保険会社であるスイス・リーは、主要メンバーとしてプロジェクトに参画しました。世界有数の経営コンサルタント会社であるマッキンゼー•アンド•カンパニーが分析の推進役となり、レポートの事実関連の項を執筆しました。また、低炭素社会の実現を目指す財団の国際的なネットワークであるクライメイト•ワークス、欧州委員会、発展途上国における気候変動に対する取り組みに豊富な経験を持つロックフェラー財団、グローバルな銀行として新興市場への参入を進めるスタンダード•チャータード銀行が資金提供およびガイダンスを行いました。


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